夜の東京を縫うように走り続ける一台のタクシー。ハンドルを握るのは古川琴音演じる蘭象子(あららぎ・しょうこ)。
その小さな明かりにすくわれるように、人々の心がそっと寄り添う。
ストーリーは、昨年の向田邦子賞を28歳という史上最年少で受賞して注目を集める脚本家・兵藤るりによるオリジナル。
繰り広げられるのは、雨上がりの空気のようにすがすがしく、触れればこぼれ落ちてしまいそうに繊細な“ひと夜の物語”と、それらを独特のユーモアで抱きしめる癒やしの世界だ。
語りすぎず、求めすぎず、ただ静かにそこにいる。そのたたずまいは、夜の道しるべのように、乗り込んだ人の心の奥に置き忘れられた言葉をそっと照らし、そっとほどいてみせる。
恋人たちのささやかな秘密も、孤独を隠すためのうそも、長い年月を越えてなお胸に残った思いも、
象子のタクシーに揺られるうち、行き先を夜明けの方角へ向け変えていく。
このドラマは“出会い”の物語ではなく、“心がふたたび動き始める瞬間”を描いた物語。
その夜あなたの胸にも、きっとひとつ、名前のない明かりがともるはずです。