死者を悔いなく来世へ送り出すために“最後の一皿”を振る舞う『黄泉の食堂』。料理人・孟婆(中村蒼)がせっせと開店準備を進める傍らで、閻魔王(秋谷郁甫)の弁護士コスプレアピールに塩対応する白無常(声:渋谷凪咲)。いつもと変わらずせわしない食堂に、今夜のお客さま、トランスジェンダー女性の安藤輝(高山のえみ)がやって来る。
テーブルに着くなり、「私、違和感ない?」と尋ねる輝は、孟婆が「僕たちはお客さまの魂を見ていますが、女性に見えます」と偽りなく答えると、ホッとしたように『ニラレバ炒め』を注文。そのオーダーに“父子の食卓”が見えた孟婆は、中華鍋ではなく、あえてフライパンで調理を始める…。
早くに母を亡くし、父と2人きりの父子家庭で育った輝。物心ついた時から女性であることを自認し、母が遺した化粧道具でメイクするのが楽しかった。しかし、厳格な父・鉄二(平田満)は「男の子なんだから男らしくしろ」と、輝の心を理解してはくれず…。“男性のフリ”をして生きることに耐えきれなくなった輝。自由になりたくて家を出たのだが、ある事件をきっかけに、父に「女性として生きたい」と告白することになり…。不器用な父と子の“ほろ苦い”ニラレバ炒めの記憶とは…?